英ポンド/円相場は、2月7日の147.98円をピークに、足元では145円水準まで軟化しており、約1週間ぶりのポンド安・円高水準となっている。主要7カ国・地域(G7)財務相・中央銀行の緊急共同声明の解釈を巡って円安圧力にブレーキが掛かる一方、ポンドサイドからも売り圧力が強くなっており、ポンド高・円安傾向が一服した形になっている。
イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁は13日、「海外製品と比較した場合の国内生産品の相対価格を何とかして変える必要があるのは明らかだ」と指摘し、英経済の回復にはポンド安が必要かもしれないとの認識を示した。同時に、G7共同声明については「単独介入はしないという長年の約束」を反映したものだと説明しており、直ちに為替介入などの強引なポンド安政策が採用される可能性は低い。しかし、大規模な金融緩和にもかかわらず景気回復が先送りされる中、ポンド安誘導のために事実上の口先介入を行った形になっている。イングランド銀行四半期報告では、インフレ率が向こう2年にわたり目標の2%を上回るとの見方が示されており、ポンド安がインフレリスクを高めていることが指摘されている。しかし、それ以上に景気への配慮が必要な状況となっている模様だ。対円市場では、他通貨と比較してポンドの上昇余地は限定的とならざるを得ない。
一方、円サイドではG7共同声明の解釈を巡って強弱の見方が分かれているが、15~16日にG20財務相・中央銀行総裁会議を控えていることもあり、円売り圧力が一服している。ただ、海外からの円安批判の声は勢いを欠いていることや、これから日銀総裁人事が本格化することを考慮すれば、円の上昇余地が限定されていることに変化はないだろう。ポンドの押し目買い基調が変わったとまでは考えていない。
今後1週間の予想レンジは、143.00~146.50円。